Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
しかし、最初は恐らく、背長椅子に当てるくらいのところだったろう。ところが、その結果偶然にも、あの空中曲芸を生んでしまったものだ」
まさに法水の独擅場だった。しかし、それには一点の疑義が残されていて、それをすかさず検事が衝いた。
「なるほど、君の理論には陶酔する。また、それが現実にも実証されている。しかし、とうていそれだけでは、クリヴォフに対する刑法的意義が十分ではないのだ。要するに、問題と云うのは、その二重の反射に必要な窓の位置にあるのだよ。つまり、クリヴォフか伸子か――そのどっちかの道徳的感情にある訳じゃないか」
「それでは、伸子の演奏中に、幽霊的な倍音を起させたのは……。事実支倉君、あの間に、鐘楼から尖塔へ行く、鉄梯子を上った者があったのだ。そして、中途にある、十二宮の円華窓に細工して、あの楽玻璃めいた、裂罅を塞いでしまったのだよ」と法水は峻烈な表情をして、再び二人の意表に出た。ああ、黒死館事件最大の神秘と目されていた――あの倍音の謎は解けたのだろうか。法水は続けた。「しかし、その方法となると、一つの射影的な観察があるにすぎない。つまり、鐘楼の頭上には円孔が一つ空いていて、その上が巨きな円筒となり、その左右の両端が十二宮の円華窓になっている。