Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
「法水君、この局面の責任は、当然君の、道徳的感情の上に掛ってくるんだ。なるほど、あの際の心理分析から、君は地精の札の所在を知ることが出来た。また、危く闇から闇に葬られるところだった――この男と、ダンネベルグ夫人との恋愛関係も、君の透視眼が剔抉したのだ。けれども、レヴェズは君の詭弁に追い詰められて、自分の無辜を証明しようとした結果、護衛を断ったんだぜ」
それには、法水も真向から反駁することは出来なかった。敗北、落胆、失意――希望のすべてが彼から離れてしまったばかりでなく、さながら永世の重荷となるような暗影が、一つ心の一隅に止まってしまった。たぶんその幽霊は、法水に絶えずこう囁くことだろう、――お前がファウスト博士をして、レヴェズを殺させたのだ――と。しかし、レヴェズの気管を強圧した二つの拇指痕は、この場合、熊城に雀躍りさせたほどの獲物だった。それでさっそく、家族全部の指痕を蒐集することになったが、その時、一人の召使を伴った私服が入って来た。その召使というのは、以前易介事件の際にも、証言をしたことのある古賀庄十郎という男で、今度も休憩中に、レヴェズの不可解な挙動を目撃したと云うのだった。