Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
ああ、この事件はあらゆる犯罪の中で、道徳の最も頽廃した型式なのでございます。そして、その黝ずんだ溝臭い溜水の中で、あの五人の方々が喘ぎ競いていたのでございますわ」
こうして、四人の神秘楽人の正体が曝露されると同時に、過去における黒死館の暗流には、ただ一つ、二つの変死事件のみが残されてしまった。それから、いつも訊問室に当てている、ダンネベルグ夫人の室に戻ると、そこには旗太郎とセレナ夫人とが、四、五人の楽壇関係者らしいのを従えて待っていた。ところが、法水の顔を見ると、温雅な彼女にも似げない、命令的な語調で、セレナ夫人が云い出した。
「私どもは明瞭した証言をしにまいりました。実は、伸子を詰問して頂きたいのですが」
「なに紙谷伸子を※(感嘆符疑問符、1-8-78)」と法水は、ちょっと驚いたような素振を見せたけれども、その顔には、隠そうとしても隠し得ようのない、会心の笑が浮んできた。
「そうすると、あの方が、貴女がたを殺すとでも云いましたかな。いや、事実誰かれにも、とうてい打ち壊すことの出来ない障壁があるのですよ」
それに、旗太郎が割って入った。そして、相変らずこの異常な早熟児は、妙に老成した大人のような、柔か味のある調子で云った。