Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
だから、後半分の余力が、その足を軸に廻転を起して、人形の左足がしだいに後退りして行く。そして、完全に横向きになると、今度は扉と平行に進んで行くからだよ」
それから、熊城には扉の外で二本の糸を引かせ、検事を壁の人形に向けて歩かせた。そうしているうちに、扉の前を過ぎて鍵が後方になると、法水はその方の糸をグイと熊城に引かせた。すると、検事の身体が張りきった糸を押して行くので、輪形の右側が引かれて、みるみる鍵が廻転してゆく。そして、掛金が下りてしまうと同時に、糸は鍵の側でプツリと切れてしまったのだ。やがて、熊城は二本の糸を手にして現われたが、彼はせつなそうな溜息を吐いて、
「法水君、君はなんという不思議な男だろう」
「けれども、はたして人形がこの室から出たかどうか、それを明白に証明するものはない。あの一回余計の足跡だっても、まだまだ僕の考察だけでは足りないと思うよ」と法水は、最後の駄目を押して、それから、衣裳の背後にあるホックを外して観音開きを開き、体内の機械装置を覗き込んだ。それは、数十個の時計を集めたほどに精巧をきわめたものだった。幾つとなく大小様々な歯車が並び重なっている間に、数段にも自働的に作用する複雑な方舵機があり、色々な関節を動かす細い真鍮棒が後光のような放射線を作っていて、その間に、弾条を巻く突起と制動