Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
それは二本の王冠ピンだった。そして、その上に、一つには紅玉一つにはアレキサンドライトが、それぞれ白金の台の上で、百二、三十カラットもあろうと思われる、マーキーズ形の凸刻面を輝かしていた。伸子は弱々しい嘆息をしてから、舌を重たげに動かしていった。
「つまり、親愛な黄色――アレキサンドライトの方が吉で、紅玉の血は勿論凶なのでございます。そして、この二つを諾否の表示にして、どっちかを、演奏中私の髪飾りにしていてくれ――と、あの方は仰言いました」
「では、云い当てて見ましょうか」と狡猾そうに眼を細めて云ったが、しかし、何故か法水は、胸を高く波打たせていて、
「いつぞや、貴女はレヴェズを避けて、樹皮亭に遁れていましたっけね」
「いいえ、レヴェズ様の死に、私は道徳上責任を負う引け目はございません」と伸子は、息を荒ららげて叫んだ。「実は私、アレキサンドライトを付けました。それで、あの方と二人で、このハルツの山(妖魔どもが、いわゆるヴァルプルギス饗宴を行うという山)を降りるつもりだったのですわ」
それから、法水の顔をしげしげ覗き込んで、哀願するように、「ねえ、真実の事を仰言って下さいまし。