Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
それは無言の現実だった。ロダンの「接吻」の胴体から取り出したものを、法水が衣袋から抜き出した時、思わず二人の眼がその一点に釘付けされてしまった――乾板。そして、幾つかの破片をつなぎ合わせて見ると、それには次の全文が現われたのである。
一、ダ ベ 砒石の 。
一、川那部 、胸腺死の危 。
(特異体質の箇条は、その二つにのみ尽きていて、それ以前のものは不明だった)
一、余は、吾児 犠牲とするに忍 を以て、生れた女児を男児に換えて、生長後余が秘書として手許 紙谷伸子なり。それ故、旗太郎は 血系には全然触れざるものなり。
こうして、紛糾混乱を重ねた黒死館殺人事件は、ついに最終の幕切れにおいて、紙谷伸子を算哲の遺子として露わすに至った。そうなると、勿論算哲の悶死は、伸子の親殺しであり、父よ吾も人の子なり――の一文は、当然その深刻をきわめた、復仇の意志にほかならないのだった。しかし、その乾板と云うのが、法水の夢想の華――屍様図の半葉であったとは云え、要するに、現存のものはその一部のみであって、他は落した際に微塵となったか、それとも、伸子が破棄してしまったものか、いずれにしても二人以外の特異体質の闡明は、久遠の謎として葬られなければならなかった。