Japanische Klassiker mit Furigana
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こくびゃくストーリー
黒白ストーリー
杉山 萠円
Lesen Sie 黒白ストーリー (こくびゃくストーリー) von 杉山 萠円 (すぎやまほうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.356 Zeichen · 42 Bildschirme
――17――
ときいた。
歌寿は屹となった。「隠し男を持つようなお嬢様ではありません」と云った。
戸塚警部は首をひねって去った。
その立ち去る足音を聞き澄ました歌寿は裏表の戸締りを厳重にして、寝床の下から札の束の包みを出し火鉢に入れて焼き初めた。涙が止め度なく流れた。
歌寿の弟子で養策の治療を受けている一人の男が、音絵の失踪を知らせに来たが、表戸が閉まって中から煙が洩れて来るのでいよいよ驚いて表戸をたたき離して飛び込んで来た。
見ると火鉢の中で札の束が燻っているので仰天して、抓み出そうとして焼けどをした。
歌寿は烈しく咽び入った。
――17――
温泉宿鶴屋を出た自動車の運転手は帰る途中で泥酔して人を轢いた。警察に引っぱられて調べられると一切を白状して武丸からことづかった電報を見せた。
戸塚警部とその部下を載せた自動車が間もなく警察の門を出た。雪を衝いて暁の野をヒタ走りに鶴屋の門前に乗り付けた。武丸と音絵はしかしもう居なかった。
戸塚警部はすぐにそこの警察に駈け付けて助力を乞い、二手に別れて雪の国道に自動車を馳せた。
戸塚警部の自動車は山道にかかった。
はるかの岨道を乞食体の盲目の男と手引女が行くのが見えた。