Japanische Klassiker mit Furigana
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こくびゃくストーリー
黒白ストーリー
杉山 萠円
Lesen Sie 黒白ストーリー (こくびゃくストーリー) von 杉山 萠円 (すぎやまほうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.356 Zeichen · 42 Bildschirme
――3――
とうとう我慢し切れなくなって父親の鉄平に「是非音絵を貰って下さい」とせがんだ。
鉄平は「まあ学校から先に卒業しろ」とはね付けた。
――3――
ある日、丸山養策が往診の留守中の事であった。
大きな空色の眼鏡をかけた、見すぼらしい青年が杖で探り探り丸山家の表玄関に這入って来て尺八を吹き初めた。
音絵は聞き惚れた。青年が帰ろうとすると女中に云い付けお金を遣って引き止めた。
表門から俥に乗った養策が帰って来てこの青年を見ると懐中から金を遣って立ち去らせた。
出迎えた音絵は今の乞食青年が世に珍しい尺八の名手である事を父に告げた。「あのまま乞食をさせておくのは、ほんとに惜しい事」とまで云った。
養策はすぐに女中に命じて乞食青年を呼び返させて、勝手口にまわして茶を与えて、自身に親しく身の上を問い訊した。
青年は赤面して再三辞退したが遂に竹林武丸と名乗った。
「父は尺八、母は琴の名手であったが十九の年に死に別れ、自身も盲目となってこの姿」と涙を押し拭うた。
養策は憐れを催おした。その眼を一度診てやるから明日改めて出て来いと十円の金を与えた。
武丸は土間にひれ伏して涙にむせんだ。