Clásicos japoneses con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas
湯は勿論なま沸きで、まずいまずい茶が出た。ミス・プラットもさすがに苦笑した。
「佐々さんに負けましたね。夏向きの茶が出てしまって……」
伸子は、漠然、あたりに妙な雰囲気の醸されてゆくのを感じ、居心地よくなかった。ミス・プラットは、絶えず話題を提供するのだが、不自然なところがあった。彼女は、誰にともなく、ぼんやり話してすむところを、故意に佃を焦点とした。いちいち、
「佃さんはどうお思いになります」
または、
「あなたの御意見をおきかせ下さい」
佃は迷惑らしく、はきはきした返事をしなかった。しかもミス・プラットは繰り返し迫って、調子をかえようとしない。
彼女が、
「佃さん、あなたの御専門は何でしたか、いつぞや伺ったんでしょうけれども、つい失念して……」
と云った時、佃は神経の焦立った様子を制そうともしないで、突き放すように答えた。
「別に面白くもないものです」
伸子が間から口を入れた。
「彼の専門は古代言語学なのです、特にイラン語の……」
そして座をとりなすように云った。
「いつかよろしかったら、御一緒に美術館へでも行って見ましょう、佃さんを説明役にして。――きっと面白いでしょう」