Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas

Aozora Bunko

五

石段の上に、広場が記念塔めいた建物の周囲をとりまいている。目の下に暗いハドソン河と、冬枯れの公園があり、寒い夜風の中を散歩する人影もない。伸子と佃とは、図書館を出てここへ来た。彼らは明らかに亢奮していた。けれども、心持は真面目で、むしろ沈んでいた。伸子の告白をきいた時、佃は、

「こんなことがあり得るだろうか! こんなことがあり得るだろうか!」

と呻いて、骨が砕けそうに伸子を擁き締めた。彼の眼から涙が溢れ落ちた。これ以上の承諾がどこにあろう! 伸子は自分が、幸いに誤らず、彼の内心にもあった希望を切り出したのを知った。

彼女は次第に落着いた。

「もっといろいろ、聞いて戴かなければならないことがあるのよ、少し歩きましょうか」

そこで、彼らは、この季節のこの時間では、往来も疎らなリヴァサイドへ来たのであった。

伸子は自分が、あんな風に自分の心を打ち明けようとは思っていなかった。もう少し冷静に、自分がその決着に来た心持の経路から、実際上のいろいろな相談をし、最後にあの一言を云おうと考えていたのに、順序や考えなど、けし飛んでしまった。いま逆に戻って、初めの方を彼に話さなければならない。