Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas

Aozora Bunko

七

十日余滞在した。伸子にとっては楽しさと遠慮との混り合った旅行であった。佃の老年の父や兄夫婦や弟など、肉親ではあるが、久しく別れていて、全然未知な生活をして来た佃、また伸子に対して心遣いするのがわかった。菜の花盛りで、金色の花が高く高く咲き連なり、遠い白山山脈に照り映えた。古い村落には、狭い街道を挾んで黒板塀の家が並んでいた。浄土真宗が非常に盛で、村の寺は倶楽部または集会所であった。家々には素晴らしい仏壇が飾ってあった。その大小が家の格を支配するということであった。

「この辺じゃあみな、こんなものを大切にしていますのじゃ」

伸子は珍しく思って、金を打った観音開きの扉や内部の欄間に親鸞上人の一代記を赤や水色に彩りした浮彫で刻みつけてあるのを眺めた。炉のそだ火に当っている老人は、寝所に入る前、必ず仏壇に行った。燈明をあげ、肩衣をつけ、歎異鈔に類したものを唱した。そして口のうちで、

「南無、南無、南無」

と弱々しく称名しながら戻って来る。焚火で燻った天井の大桷からは籾俵が吊下っていた。黙って焔をふく焚火を眺めている者達の、大きく重なり合った影法師が板敷を這い、板戸の上で揺れながら延びたり縮んだりする。