Clásicos japoneses con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas
絵でも習おうと思い始めた母の心持を、伸子はいとしく感じた。
「それで結構ですとも! 打ちこんで稽古するものができただけで万歳よ、――どれ? この前のは……一番初めの……」
「何しろ、何年も絵筆なんぞ持たなかったから、からきしさ。小蘋さんの頃からずっとやっていたら、どうしてこれだって今頃は、小何とかだよ」
多計代は、自分の気焔に興じたように、晴れやかに大笑いした。屈託ない笑いであった。伸子は、絵の稽古がこんなに心に影響するものかと、一寸刺戟を感じた。伸子は以前から、母が和歌でも本気でやればよいと思って勧めたこともあった。その方に却って縁がなく、絵になった。学校時代の若い時、野口小蘋に好意のある指導をされた、それが因縁になっているのだ。多計代は、大色紙ぐらいの唐紙に竹をかいたのを見せた。
「どうだい」
そして、自分もわきから覗きこんだ。
「こうと頭では分っているつもりでも、いざとなると、筆が何とも云うことをきかないでね」
「ハハハ。まるで十年も二十年もおやりになったようね、ハハハ、筆がいうことをきかない、は虫がよすぎるわ」
「またひやかす! どうせお前は偉いよ。