Clásicos japoneses con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas
八
百十六丁目の地下電車のステイションが直ぐ目に入った。
「――どうなさいます? ホテルに直ぐ帰りますか」
「そうね」
小春日和の街を見渡すと、伸子はホテルの部屋の窮屈さを頭の中に感じた。
「――あなたお忙しいのじゃなくて? 若し何だったら私まっすぐブラブラ歩いて帰りますから、どうぞご自由に。……有難うございました」
「いえ、私はどうせ午後空いているのですから」
佃はいそいで伸子を追うように云った。
「では――リヴァサイド・パアクにいらしったことがありますか」
「いいえ」
「じゃあすこを抜けてホテルまでお送りしましょう」
八
車道を突っ切り、もう一つツルツル広い道をあちらへ抜けると、歩道にそうて灌木の茂みがある。庭園の小径らしく拵えた道がその植込みを縫っていた。彼らはゆっくり並んでそちらへ降りて行った。公園の芝生を縁どる散歩道から一目でハドソン河が見晴らせた。
うっとり冬の太陽にぬくめられたハドソン河が流れる。重く軟かい広い水面が真珠色に輝いた。洋々と海に入る河下は一面霞んでいる。遠い対岸に冬枯れた疎林が薄赭くぼやけ、鴎に似た鳥が一羽伴侶もなく翔んだ。仄かな水の匂いが伸子に懐しく新鮮な喜びを感じさせた。