Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ちぎりきぬ

契りきぬ

山本 周五郎

Lee 契りきぬ (ちぎりきぬ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 32.757 caracteres · 66 pantallas

Aozora Bunko

季節はとうに秋になっていたが、その日は初めて秋らしい静かな雨が降っていた。

午後になると衣巻たち五人が訪ねて来、すぐに小酒宴が始まった。河野又三郎は、『鼻たか』というあだ名があり、それはじっさいにも鼻が高いけれど、それよりも多芸多能で、碁将棋とか謡とか魚釣りとか歌や俳諧などにまで手を出し、それをみないちおう素人ばなれのするくらいこなすので、御当人はいつも鼻たかだかだ、と、いう意味のほうがつよいらしい。――酔ってくるとその自慢ばなしで、巧みに話題をさらうのであるが、邪気がないのと話が面白いのとで、みんなは却っていいさかなにしているようにみえた。

けれどもその日は鼻たかさんはいつものようではなかった。河野ばかりではなく、ほかの人たちも常とは違って、なごやかにおちついて話すというぐあいだった。おなつに対してもいつもほど狎れたふうは見せず、衣巻などでさえ妙に隔てのある口をきいた。

――この方たちとももうお別れなんだ。

おなつはこう思って、なつかしいような名残り惜しいような気で、できるだけ膳の上を豊かにし、こまめに酌をしてまわった。

「さあ、そろそろ席を替えるかな」