Clásicos japoneses con furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lee 契りきぬ (ちぎりきぬ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 32.757 caracteres · 66 pantallas
一の一
一の一
「また酔っちまったのかい、しようのないこだねえ、お客さんはどうしたの」
「いま菊ちゃんが出てるわ、こうなっちゃだめよかあさん、このひとにはお侍はいけないって、あたしそ云ってあるじゃないの」
「お侍ばかりじゃないじゃないか、お客ってお客を振るんじゃないか、それあ今のうちはいいさ、稼ぐことは稼いで呉れるんだから、こっちはまあいいけどさ、こんなこっちゃおまえ、いまにお客が黙っちゃいないよ、さんざっぱらおまわりだのちんちんだの好きなようにひきまわしておいてさ、いざとなるとみんなおあずけなんだもの、あれじゃあんまりひどいよ」
「あたしだって初めのうちはそうだったわ、ひとにもよるだろうけれど、汚れないうちはつい一日延ばしにしたいもんよ」
「このこはそんな初心なんじゃないね、どうして、相当しょうばいずれがしているよ、素人でこんなに酒びたりになれるもんじゃないし、性わるで有名な柏源さんまで手玉にとるところなんかさ――玉藻前じゃないけれど、いまにきっと尻尾を出すからみてごらん」
酔いつぶれたおなつはうつらうつらとそこまで聞いていた。悲しいなと思った。そうしていつものように、口のなかで母の名を呼びながら、いつか眠ってしまったらしい。