Clásicos japoneses con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lee 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 173.309 caracteres · 352 pantallas
平常の父は恐い。だが、木剣を持てば、又十郎の心境も自ら違う。
(おれは若い)
遺憾ながら、父の老骨に、一撃を加えることになるだろう。当然、彼はそう自負している。
(もう親父も老いたな。こんど手合せしたら、おまえの方が、三本に二本は取るだろう)
兄の十兵衛が、いつか云った事がある。それからでも、数年間は経っている。その上、父は木剣を取る日は殆どなく、大目付という役に忙殺されて来た。日常、頭のつかい方も、剣人ではなくなって官僚になっている。痛ましいが、勝負になるまい。
「…………」
又十郎は若い柔軟な四肢をすっくと伸ばした。父の木剣も正眼である。相構えになって父を見る。
木剣は見えて、父の姿は見えない心地がした。霞という体を取ったなと悟る。一呼吸、二呼吸、父の息がひびいてくる。悲しいかな御老体だ。又十郎は打ち込もうとした。とたんに、それを知ったように、父の体が波間の月みたいに揺らっ――と上がった。
――来る!
と感じたせつな、ぱんと又十郎の木剣が鳴った。動作は意識でなく霊だった。どう闘ったか覚えないのである。だがその瞬間、又十郎は木剣を地へ叩き落されていた。