Clásicos japoneses con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lee 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 173.309 caracteres · 352 pantallas
「それ、積んだ、積んだ」
と、蔵から二十樽ほどの、沢庵漬を転がし出した。
「届け先は、日本橋の大丸だぜ」
大八車へ、それを積むと、縄をかけて、勢いよく曳き出したのである。お次は、心配そうに、窓から見ていた。
「さすがのお武家も気がつかない。どうじゃこれでよかろう」
「え」
にこと、淋しく頷いた。
窓からその顔が消えると、じっと、蔵の蔭に立っていた岡本半助は、道をかえて、外へ駈け出していた。そして、乾いた街道を、白い埃につつまれて行く荷車の後から、
「敵っ、佐太郎待てっ」
と呶鳴った。
きらっと、陽の光をかすめた刀の白さを見ると、若い者たちは、
「来やがった」
と、叫んで、われ勝ちに、避けた。
大八車の梶が、どんと前に落ちた弾みに、半助の刃が、樽の縄を、めちゃめちゃに切った。山に積んだその上から、一つの空き樽が真っ先に落ちた。
ころころと、生き物みたいに、樽が先へ出た。そして、ぽんと蓋が脱れると、その中から、糠だらけになった岩公が、飛び出した。
「このッ――」
がつんと妙な音が聞えた。
畑に潜って見ていた若い者たちが、思わずわっと言った時は、そこが真っ赤になってもう岩公の首が見当らなかった。