Clásicos japoneses con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lee 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 173.309 caracteres · 352 pantallas
これだけの犬の食物があれゃ、俺の村は、一揆など起さずに済むが」
と、彦太は思った。
その野良犬と、町廻りに、何度か脅かされながら、真っ暗な問屋町を、彼は、探して歩いた。そう夜半という程でもないのに、どこ一軒、灯りの洩れている家はない。今こえて来た狭い橋の下から湧くのであろう、腐った汐の匂いがいっぱいにする闇だった。
「あ。此処ここ」
幼少の時、一度見た記憶がある。戸を卸した六間間口の艾屋の軒下に、すばらしい大釜が看板に据えてあった。釜で覚えていたのである。
彦太が、立ちどまったのは、その釜屋艾のすじ向い――弁当仕出し屋の政右衛門の店口だった。
「今晩は――」
幾度も、戸をたたいて、どなった。
「青梨村の彦太でがす。伯ッ様、信州の彦太でがすよ。開けてくんなさい。今晩はっ」
寝たにしても、このくらい叩いたら――と思っていると、程経て、
「どなた様で――」
見当違いな、土蔵の金網窓に、灯影がゆらいで、首の影が二つ、
「押し込みの御用意でもねえようだな」と、囁き合ってから、
「唯今、お開けしますから、お待ちなすって」と、答えた。
主人の弁政は、奥で、妾あがりの後妻と、寝酒を酌んでいたが、呆れたように、