Clásicos japoneses con furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lee 湖畔亭事件 (こはんていじけん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 69.335 caracteres · 137 pantallas
のです。それは、御承知でしょう、長吉は度々トランクの男に呼ばれていたのですが、何かの機会にあのトランクの中に大金の隠されているのを知ったのです。手の切れ相なお札の束が幾万円とも知れず入っているのを見たのです。マア待って下さい。おっしゃる通りこの鞄の中にあるのがその金ですが、どうして私の手に入ったかはこれから追々お話しますよ。
長吉はその金のことを思い出し、あたりに人のいないのを見て、悪心を起したのです。その内のほんの一束か二束で、明日からでも自由の身になり、いやな松村の毒手をのがれることが出来る。そう思うと、松村の乱暴でいくらか取りのぼせていたのでしょうね。彼女はいきなり部屋へ入って、トランクを開こうとしました。しかし、無論錠前が卸してあるのだから、女の細腕で開くはずがない。それを、彼女はもう夢中で、蓋の隅の方を無理に持上げて、そのすき間から指を入れ、やっとの思いで数十枚のお札を抜き出すことが出来ました。が、そうした事に不慣れの彼女は僅一束の紙幣を抜きとるのに可成の時間を費したらしく、ふと気がついた時には、いつの間にか、うしろにトランクの主が恐しい剣幕で立ちはだかっていたのです。