Clásicos japoneses con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lee 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 188.242 caracteres · 380 pantallas
「そうしてこれは、この面は?」
「ああそれはね、熊坂の面」
「ああ熊坂か、知ってらい」
甚太郎は胸に落ちたらしい。
「狐の面があるね、狐の面が」
「小鍛冶に使う野干の面」
「こいつは鷹だ。鷹の面だ」
「鵺を舞う時に着けるんですの」
「ワーイ天狗の面があらあ」
「ええ、大見と小※(「やまいだれ+惡」、第3水準1-88-58)見とがね」
「どう考えても変梃な名だ。おっとこいつア何んだろう」
「一角仙人の面ですの」
「随分沢山あるんだなあ。いったいみんなで幾個あるの?」
月子は返辞をしなかった。
ただ優しく微笑した。
「みんな姉さんが作ったの?」
「ええそうなのよ、長い間にね」
「みんな上手に彫れてるんだね」
「いいえ、みんな駄物ばかりよ」
月子の声は寂しそうであった。
「そんな事あないよ。傑作だよ」
甚太郎は忽ち批評家になった。
「坊やに善悪が解るかしら?」
「皮肉だなあ、姉さんは」
甚太郎はにわかに悄気てしまった。
月子にはそれが可愛らしく見えた。
やがて甚太郎は不思議そうに訊いた。
「だがいったい姉さんは、どんな面が作りたいの?」
「極重悪人の新面をね」
「極重悪人とはどんなもの?」
「一番悪い人間のことよ」