Clásicos japoneses con furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lee 貞操問答 (ていそうもんどう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.240 caracteres · 399 pantallas
七
と、訊ねた。
「うむ。ちょっと、お客したもんだから……」
「へえー珍しいのね。」
夫人は彼の鼻の先で、馬鹿にしたように、笑った。前川は、角に触れられた蝸牛のように、有頂天の気持から、たちまち身を縮めて、スワンのマッチなぞ、どこへも入れて来なかったかと、改めてズボンのポケットに、手をしのばせた。
「踊りの会、面白かった?」
「面白いはずがないじゃありませんか。」
夫人は、冷たい返事をしなから、共に階段を上って来た。
前川は、一段ずつ、冷しさまされて行く夢心地であった。
七
階段を上り切ると、夫婦の部屋の分岐点である。
夫人の部屋は左へ、前川の書斎、居間、寝室は、右へぐるりと建物を廻るような配置になっている。前川は、さりげなく夫人の顔を見ながら、
「眠い!」と、いった。そして、すぐ続けて、
「おやすみ!」と、別れの会釈をした。すると、夫人はその手を喰わず、ニヤニヤ笑いながら、
「お待ちなさいませ。少しお話がしたいわ。」と、いって右へ前川に、ついて来た。
「眠いし、疲れているし……、話なら明日にして……」と、逃げようとすると、
「厭よ。用事の話じゃないんですもの。貴君ったら、いつでも私が話をしようとすると、鹿爪らしくお取りになるけれど、たまには無駄話だってしたいわ。