Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ていそうもんどう

貞操問答

菊池 寛

Lee 貞操問答 (ていそうもんどう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.240 caracteres · 399 pantallas

Aozora Bunko

五

私、円タクをおごるわ。」

「円タク賃ぐらい、僕が出してもいいけれども。」

「じゃ、行きましょうよ。ねえねえ。」美和子は、両手で洋傘を持っている美沢の手を、一、二度ゆすぶった。

美沢は、とうとう通りかかった円タクを呼び止めて、銀座まで五十銭に値切った。

時間が遅いので、新子に会うのを断念した自分が、美和子につき合わされて、銀座へなどと思うとくすぐったい思いがしたが、しかし朗かさそのものである美和子と一しょに居ることも、愉しいことに違いなかった。

第一、美和子は、新子のように批評的に、皮肉に人を見たり考えたりしなかった。

五

美和子が、靴下を買うのにつき合ってから、ジャーマン・ベイカリで、一しょにお茶を飲み、数寄屋橋まで歩いて、別々の電車に乗り、美沢は本郷弥生町の家に帰って来た。

ささやかな門のついている暗そうな借家であった。

狭い玄関に上りかけたとき、母が出迎えて、

「お帰り、ほんの一足ちがい――新子さんが、八時半頃お見えになって今しがたまで、いらっしたのよ。」と、云った。

「へえ!」内心の驚きと口惜しさとをこらえて、無愛想に云うと、二階の書斎へ上って行った。