Clásicos japoneses con furigana
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みちくさ
道草
Lee 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.812 caracteres · 293 pantallas
習俗を重んずるために学問をしたような悪い結果に陥って自ら知らなかった彼には、とかく自分の不見識を認めて見識と誇りたがる弊があった。彼は慚愧の眼をもって当時の自分を回顧した。
「送籍願が紛れ込んでいるなら、それを御返しするから、持って行ったら好いでしょう」
「いいえ写しだから、僕も要らないんだ」
兄は紅白の糸に手も触れなかった。健三はふとその日附が知りたくなった。
「一体何時頃でしたかね。それを区役所へ出したのは」
「もう古い事さ」
兄はこれだけいったぎりであった。その唇には微笑の影が差した。最初も二返目も失敗って、最後にやっと自分の気に入った女と一所になった昔を忘れるほど、彼は耄碌していなかった。同時にそれを口へ出すほど若くもなかった。
「御幾年でしたかね」と細君が訊いた。
「御由ですか。御由は御住さんと一つ違ですよ」
「まだ御若いのね」
兄はそれには何とも答えずに、先刻から膝の上に置いた書類の帯を急に解き始めた。
「まだこんなものが這入っていたよ。これも君にゃ関係のないものだ。さっき見て僕もちょいと驚ろいたが、こら」
彼はごたごたした故紙の中から、何の雑作もなく一枚の書付を取り出した。