Clásicos japoneses con furigana
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みちくさ
道草
Lee 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.812 caracteres · 293 pantallas
四十三
或日一人の客と相対して坐っていた御常は、その席で話題に上った甲という女を、傍で聴いていても聴きづらいほど罵った、ところがその客が帰ったあとで、甲がまた偶然彼女を訪ねて来た。すると御常は甲に向って、そらぞらしい御世辞を使い始めた。遂に、今誰さんとあなたの事を大変賞めていた所だというような不必要な嘘まで吐いた。健三は腹を立てた。
「あんな嘘を吐いてらあ」
彼は一徹な小供の正直をそのまま甲の前に披瀝した。甲の帰ったあとで御常は大変に怒った。
「御前と一所にいると顔から火の出るような思をしなくっちゃならない」
健三は御常の顔から早く火が出れば好い位に感じた。
彼の胸の底には彼女を忌み嫌う心が我知らず常にどこかに働らいていた。いくら御常から可愛がられても、それに酬いるだけの情合がこっちに出て来得ないような醜いものを、彼女は彼女の人格の中に蔵していたのである。そうしてその醜くいものを一番能く知っていたのは、彼女の懐に温められて育った駄々ッ子に外ならなかったのである。
四十三
その中変な現象が島田と御常との間に起った。
ある晩健三がふと眼を覚まして見ると、夫婦は彼の傍ではげしく罵り合っていた。