Clásicos japoneses con furigana
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みちくさ
道草
Lee 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.812 caracteres · 293 pantallas
九十二
周囲の事情は雅量に乏しい彼を益窮屈にした。
「御前は役に立ちさえすれば、人間はそれで好いと思っているんだろう」
「だって役に立たなくっちゃ何にもならないじゃありませんか」
生憎細君の父は役に立つ男であった。彼女の弟もそういう方面にだけ発達する性質であった。これに反して健三は甚だ実用に遠い生れ付であった。
彼には転宅の手伝いすら出来なかった。大掃除の時にも彼は懐手をしたなり澄ましていた。行李一つ絡げるにさえ、彼は細紐をどう渡すべきものやら分らなかった。
「男のくせに」
動かない彼は、傍のものの眼に、如何にも気の利かない鈍物のように映った。彼はなおさら動かなかった。そうして自分の本領を益反対の方面に移して行った。
彼はこの見地から、昔し細君の弟を、自分の住んでいる遠い田舎へ伴れて行って教育しようとした。その弟は健三から見ると如何にも生意気であった。家庭のうちを横行して誰にも遠慮会釈がなかった。ある理学士に毎日自宅で課業の復習をしてもらう時、彼はその人の前で構わず胡坐をかいた。またその人の名を何君何君と君づけに呼んだ。
「あれじゃ仕方がない。私に御預けなさい。