Clásicos japoneses con furigana
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みちくさ
道草
Lee 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.812 caracteres · 293 pantallas
今の自分がどの方角から眺めても島田より好い社会的地位を占めているのは明白な事実であった。それが彼の虚栄心に少しの反響も与えないのもまた明白な事実であった。昔し自分を呼び捨てにした人から今となって鄭寧な挨拶を受けるのは、彼に取って何の満足にもならなかった。小遣の財源のように見込まれるのは、自分を貧乏人と見傚している彼の立場から見て、腹が立つだけであった。
彼は念のために姉の意見を訊ねて見た。
「一体どの位困ってるんでしょうね、あの男は」
「そうさね。そう度々無心をいって来るようじゃ、随分苦しいのかも知れないね。だけど健ちゃんだってそうそう他にばかり貢いでいた日にゃ際限がないからね。いくら御金が取れたって」
「御金がそんなに取れるように見えますか」
「だって宅なんぞに比べれば、御前さん、御金がいくらでも取れる方じゃないか」
姉は自分の宅の活計を標準にしていた。相変らず口数の多い彼女は、比田が月々貰うものを満足に持って帰った例のない事や、俸給の少ない割に交際費の要る事や、宿直が多いので弁当代だけでも随分の額に上る事や、毎月の不足はやっと盆暮の賞与で間に合わせている事などを詳しく健三に話して聞かせた。