Clásicos japoneses con furigana
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みちくさ
道草
Lee 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.812 caracteres · 293 pantallas
しかし千円拵えて預ける見込の到底付かない彼は、細君の父に向ってその方法を訊く気にもならずについ今日まで過ぎたのである。
「そんなに貧乏するはずがないだろうじゃないか。何ぼ何だって」
「でも仕方がありませんわ、廻り合せだから」
産という肉体の苦痛を眼前に控えている細君の気息遣はただでさえ重々しかった。健三は黙って気の毒そうなその腹と光沢の悪いその頬とを眺めた。
昔し田舎で結婚した時、彼女の父がどこからか浮世絵風の美人を描いた下等な団扇を四、五本買って持って来たので、健三はその一本をぐるぐる廻しながら、随分俗なものだと評したら、父はすぐ「所相応だろう」と答えた事があったが、健三は今自分がその地方で作った外套を細君の父に遣って、「阿爺相応だろう」という気にはとてもなれなかった。いくら困ったってあんなものをと思うとむしろ情なくなった。
「でもよく着られるね」
「見っともなくっても寒いよりは好いでしょう」
細君は淋しそうに笑った。
七十三
中一日置いて彼が来た時、健三は久しぶりで細君の父に会った。
年輩からいっても、経歴から見ても、健三より遥かに世間馴れた父は、何時も自分の娘婿に対して鄭寧であった。