Clásicos japoneses con furigana
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みちくさ
道草
Lee 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.812 caracteres · 293 pantallas
八十四
時々枕元に置いてある厚紙の汚ならしいその表紙が健三の注意を惹く時、彼は細君に向って訊いた。
「こんなものが面白いのかい」
細君は自分の文学趣味の低い事を嘲けられるような気がした。
「いいじゃありませんか、貴夫に面白くなくったって、私にさえ面白けりゃ」
色々な方面において自分と夫の隔離を意識していた彼女は、すぐこんな口が利きたくなった。
健三の所へ嫁ぐ前の彼女は、自分の父と自分の弟と、それから官邸に出入する二、三の男を知っているぎりであった。そうしてその人々はみんな健三とは異った意味で生きて行くものばかりであった。男性に対する観念をその数人から抽象して健三の所へ持って来た彼女は、全く予期と反対した一個の男を、彼女の夫において見出した。彼女はそのどっちかが正しくなければならないと思った。無論彼女の眼には自分の父の方が正しい男の代表者の如くに見えた。彼女の考えは単純であった。今にこの夫が世間から教育されて、自分の父のように、型が変って行くに違ないという確信を有っていた。
案に相違して健三は頑強であった。同時に細君の膠着力も固かった。二人は二人同志で軽蔑し合った。