Clásicos japoneses con furigana
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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Lee 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 56.947 caracteres · 114 pantallas
筆間茶話
その一
なぜなら、眼の前にある今日の国際社会においてさえ、なおまだ未解決のままつねに不気味な不安のナゾとなっているからだ。――鶯やうちの亭主はどこの木に。――その酔っぱらい亭主のあたまにも、この虚無型の不安だけは、どこにいても消えてはいまい。つい、大それた放言に似てしまったが、南北朝の世をかりて、ひとつその、この世の影なき魔ものの正体を、読者とともに、考えてみようというのが私の意図でもある。そんな小説は、さだめしおもしろくも何ともないだろうといわれそうだが、しかし新聞小説である、私も愉しんで書くつもりだし、かたがた、毎日の暮しですらおたがい大へんな今日なのに、その朝ごとの諸兄姉にたいして、なんの足しにも愉しみにもならぬかたい小説などを書くつもりはいささかもない。
終りに。「太平」という語意は、古来どうも、乱世の反語に使われて来たようである。いわば平和の曙を待つ、庶民の悲願がこの二字にこめられて来たものとおもう。
(三三・一・一)
筆間茶話
その一
連載小説の習慣で、ほんらい毎月の初めには“前回までの梗概”が載るのが約束になっている。だが、どうもあれはつまらない。