Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ずいひつ しほんたいへいき

随筆 私本太平記

吉川 英治

Lee 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 56.947 caracteres · 114 pantallas

Aozora Bunko

義貞は主力の主将であり、正成は援軍だった。なぜ義貞自身が会下山に拠らなかったか。会下山こそは、総本陣たるべき地相である。これはおかしい。

すべて、官軍方の布陣は、地勢からみても、もう負ける形にできている。それに対し、尊氏直義の軍は、圧倒的にすぐれていた。作戦、地勢の用いかたも、じつにうまい。

ずっと以前に、新・平家物語で“ひよどり越え”を書くときにも、私はこの会下山に来て立ち暮らした。それほどここは眺めがいい。摩耶、一ノ谷、高取山、須磨方面から神戸市街も一望にでき、素人戦略観にはじつに絶好なのである。――土質、そこらの草木、往時の水脈、低地の古池――そんなものまで目に浮かぶ。――敗れた正成、正季らの一族はどう逃げ道をとったか? 昔は、この地方一帯に楠の樹が多かったという川辺氏の話の端にも興味はつきない。

何しろ湊川の合戦は、従来、疑問だらけである。正成一族の死所一つにさえ議論まちまちなのだ。――私本太平記はあしたからそれを書くところへせまっている。だのに、今日会下山に来るなどは泥縄式でないこともないが、それでもなお私には百巻の書を読むに勝るものがあった。