Clásicos japoneses con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas
とよは何か、微かに表情をした。伸子はそれを感じ、笑いに紛らして云った。
「――もっとも、私みたいに家にいつかない人を当にはできないね」
四オンスめの糸が五六本、細いわくになって伸子の手頸に絡みついている時、佃が部屋から呼ぶ声がした。とよはあわてて頭を下げながらいざりよって、毛糸をとりのけた。
佃は机の前にいた。
「何御用?」
「――一寸」
「何なの」
伸子は机の横に立って夫を見た。佃は脚に毛布を巻きつけている体を椅子の上で反すようにして、伸子をじっと眺めた。眉をよせ、額を皺にし、悲痛な眼付でなおも見ながら、垂れている伸子の手を執った。伸子は彼のそういう表情が何となく居苦しかった。
「何なの、御用は」
「――今夜は少し真面目な話があります」
伸子は佃の執っている手を引込めた。
「じゃあちょっと待って頂戴ね」
伸子は隣室へ椅子をとりに行った。行きながら、楽しみなような、見当のつかない不安なような気がした。何を彼は云おうとするのであろう。
「少しそっちにやって――そう、有難う」
伸子は斜に彼と相対する位置に椅子を置いた。
佃はやや暫く、沈黙したまま腕組みしていたが、やがてかたわらから、四つに畳んだ懐紙をとり出した。