Clásicos japoneses con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas
「私がいい提議をしたのよ。もう旦那様、奥様で、なに一つ碌なこともしない癖にていさいだけ意義あるように構えているのは沢山になったから、元の書生にかえりましょう、って。いいでしょう? そして二人で、本当に自分の力を活かして遣れるとこまでやって見れば結構だわ、ね……」
軽く切り出したのが重々しくなり、伸子は悲しげな顔をした。彼女は、自分にこんな話をさせようと佃がここへつれて来たのでないのはよくわかっていた。ここに夫がいなかったら、彼の顔、彼の声、ぼきぼき節を鳴らす手の指が見えなかったら、恐らく自分はこんなことは云い出さなかったろう。伸子には、特にそれが苦しい心持を起させた。彼女は、むっつり黙りこんだ。
佃が、溜息と一緒に、
「――なかなかむずかしい」
と云った。
「我々は互に仕事があるからね、どうも」
阪部は、そろそろ日のかげって来た部屋の火鉢に火をついだ。
「――それだけなら、初めっから諒解し合っていることなんだから割に造作なかろう、もっと、こりゃ根だね。――根が大事だよ」
阪部は、しばらく考え続けた。
「また植物をかつぎ出すが、何だね、ある草や木が生きていられる、――最も自然ないい状態においてだね――場所というのはきまっているね。