Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Lee 光は影を (ひかりはかげを) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 138.262 caracteres · 276 pantallas

Aozora Bunko

「よろしい。貴様の選り好みを言つてみろ」

「平凡な勤めは真つ平なんだ」

「平凡と来やがらあ。勤めは、どつちみち平凡を基礎にして成立つもんだ。そいつを、平凡でなくするのは、頭と腕だよ」

「また、お説教か。それより、おれは、輪タクでもやろうかと思つてるんだ」

「輪タク……おどかすない。あんなもん、貴様にできたらおなぐさみだ。おれも人力を挽いたことはあるが、腕力をあんな風に使うのは損だ、どうだ、ひとつ、面白い商売を教えようか?」

「面白くなくつても、自分勝手にできるもんならいゝな」

「だからよ、たつた一人で、マンホールの中を歩く商売は、どうだ。夕方から朝までかゝつて、三里近く、あの暗い下水道をぶらぶら歩くだけだ。一晩の収入二千円はどうだ」

「そんな商売があるのか?」

「からだがじくじくするのと、眼がくらむほど臭いのが難点だが、ほかにうるさい相手はいないしさ。時々、泥鼠が頬つぺたへぶつかるぐらいなもんだ」

「毎晩か?」

「そいつは、自由勝手だ。いやになつたら、いつでもやめてさ、からだに浸み込んだ臭いがぬける頃、またおつぱじめれやいゝんだ」

「二千円は大きいな」

「そうよ、贅沢言わなけれや、十日働いて、十日休めるつてわけさ。