Clásicos japoneses con furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lee 光は影を (ひかりはかげを) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 138.262 caracteres · 276 pantallas
二
等志は、二階の窓からそれを眺めていた。
なんとも知れずぎごちない、気のぬけた出発であつた。
二
この事件ともいえぬ事件は、父にとつて非常な衝撃であつたらしく、それ以来、母との間にも気まずい口争いがしばしばみられるようになつた。酒気をおびて夜おそく帰つて来る父を、母は冷たく迎えた。
が、こうなると、京野等志には、家族の一人一人が痛ましい存在のようにみえて来た。それと同時に、弟の深志がすこしいまいましかつた。もつと早く、自分の方が、この家を出て、一人の生活を築くべきだつたのに、彼に先手をうたれたという気がして来た。弟が出て行つた後に、また自分もおなじ道を踏むということが、なんとなく躊躇された。誰にわるいとはつきり言えるようなものではない。自分の気持が承知しないのである。一歩つきつめて考えれば、やはり長男の立場ということもあるのであろう。頭までは立派にそれを否定しながら、今日このごろの家の空気、ことに母や妹たちの弱々しい表情にぶつかると、つい、彼女らの運命を、自然の手にまかせる気にはなれない。
彼は、急に、仕事を探そう、なんでもいゝ、仕事にぶつかつていこう、と思いたつた。