Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lee 契りきぬ (ちぎりきぬ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 32.757 caracteres · 66 pantallas
おなつはぼんやり眼をあけた。庇からおちる雨滴れがしきりに吊り忍草の葉を叩き、きらっと光っては下へ落ちる。
――このままでは済まない、いつかは、どうにもならないときが来る。……あたしはもう疲れた、もうこれ以上こんなことを続けてゆく自信がない……とすれば、死ぬか……それともいっそこっちから。……
おなつはそう思うとたん、われ知らず言葉が口をついて出た。
「その話、あたしでもいいの、お菊姐さん」
二人はおなつが眠っているものと信じていたのだろう、突然そう呼びかけられたのでびっくりして、おそのなどはうへえと叫んでとびあがった。
ほかの三人が湯から帰り、おてつが用達しから戻ると、冗談から駒が出たようなかたちで、この奇妙な契約が改めておてつと女たちのあいだに取交わされた。――おなつが進んでその仲間にはいると云ったことは、女たちに一種の軽侮の気持を起させたらしい。あんなに潔癖そうに客を振り続けてきたのに、ことにお侍の客には決して出なかったのに、やっぱり慾は恐ろしい、七両二分と証文を巻かれると聞いて、今まで隠していた正体を出したのだ。そんなふうに思うようすが、互いのめまぜのなかにあらわなくらい出ていた。