Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

Lee 支那游記 (「しなゆうき」) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 51.859 caracteres · 105 pantallas

Aozora Bunko

「香炉峰と云うのも二つありますがね。こっちのは李白の香炉峰、あっちのは白楽天の香炉峰――このハクラクの香炉峰ってやつは松一本ない禿山でがす。……」

大体こう云う調子である。が、それはまだしも好い。いや、香炉峰の二つあるのなどは寧ろ我々には便利である。一つしかないものを二つにするのは特許権を無視した罪悪かも知れない。しかし既に二つあるものは、たとい三つにしたにもせよ、不法行為にはならない筈である。だから私は向うに見える山を忽「私の香炉峰」にした。けれども主人は雄弁以外に、廬山を見ること恋人の如き、熱烈なる愛着を蓄えている。

「この廬山って山はですね。五老峰とか、三畳泉とか、古来名所の多い山でがす。まあ、御見物なさるんなら、いくら短くっても一週間、それから十日って所でがしょう。その先は一月でも半年でも、――尤も冬は虎も出ますが……」

こう云う「第二の愛郷心」はこの主人に限ったことじゃない。支那に在留する日本人は悉ふんだんに持ち合わせている。苟も支那を旅行するのに愉快ならんことを期する士人は土匪に遇う危険は犯すにしても、彼等の「第二の愛郷心」だけは尊重するように努めなければならぬ。