Clásicos japoneses con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lee 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 173.309 caracteres · 352 pantallas
鬼のような顔の父へ、手を合せてわびていたのに、その手を鞭で撲られて、彼女の指から血が走った。
――ひいっ! と泣き伏すと、
「心にこたえて置けよ! おのれっ、おのれっ」
背を打つ。かよわい腕の根へ打ち下ろす。
見るまに、彼女の皮膚は斑になった。
すると、その後に、もう一人俯ッ伏していた若い男が、いきなり草埃りと一緒に刎ね起きて、
「あんまりだッ。いくら親でも!」
と、与右衛門へ組みついて来た。
与右衛門は、一気に振り払って、
「そちもだッ」
と、鞭に唸りをくれた。
「わっ」
と、若者は顔をかかえてよろめいた。安太郎なのである。
男女が、わずかな間を偸んで、湯沸し場の裏の日蔭で、楽しげに囁き合っていた所を、与右衛門に見つけられたのだと、見ている百姓たちが話していた。
「――な、撲ったな、畜生っ」
「まだ足らん、それへ直れ」
「わ、わしを、凡の人足扱いにしやがったな。わしはこれでも、十川の郷士だぞ」
「郷士が何じゃ、この与右衛門の眼からは郷士であろうと、子であろうと、何者でも皆、一日いくらの土が担げるかと思う、一箇の人足に過ぎないのだ。たとえ、御領主様がここへお出であろうともその心底に変りはないっ」