Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lee 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 173.309 caracteres · 352 pantallas

Aozora Bunko

大根月夜

わざと漬物樽を幾つも転がして半助を追い退けた。

半助は、歯がみをしたが、どうも出来なかった。ここから近い川越藩へ行って、仇討免状を示し、正当な手続きをとれば、捕えられぬこともないが、その間に佐太郎を逃がされると、何にもならない。

「ううむ、根くらべだ。彼奴も、食わずにはおられまい」

半助は、蔵のまわりを歩き出した。五日でも、十日でも、こうしているぞというように、唇を噛んでいた。

大根月夜

ぴた、ぴた、と半助の跫音が、夜半でも外に聞えた。

「お次、そなたは、こんな果報が、嬉しゅうないのか」

と、樽屋三右衛門は、父として嫁入り近い彼女の沈んでいることが、気懸りでもあり、不足でもあった。

島台、紅白の縮緬、柳樽、座敷は彼女の祝い物で一杯だった。家族たちは、毎晩のように、忙しげに、夜を更かした。

「いいえ」

お次は笑ってみせた。

でも、靨に何となく陰があった。

「まだ、何か不足があるのか」

「勿体ない」

「あるなら、言うがよい。……なんだ……なんだお前、泣いてるじゃないか」

「だって、あたし、可哀そうでならないんですもの。こんな倖せな私にくらべて」

「誰が。アア後に残る祖母さんの事か」