Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lee 湖畔亭事件 (こはんていじけん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 69.335 caracteres · 137 pantallas

Aozora Bunko

何か長吉から聞いたことはないの」

「別にこれといって、まああたりまえのお客さまですわね。でも大変なお金持らしいということでした。きっと財布でも見たのでしょう。お金がザクザクあるって、長吉さんびっくりしてましたわ」

「ホウ、そんな金持だったのか。それにしては、大して贅沢な遊びもしていなかった様だが」

「そうですわね。いつも長吉さん一人切りで、それに、三味線も弾かせないで、陰気らしく、お話ばかりしていたのですって。毎日部屋にとじ籠っていて、散歩一つしない変なお客だって、番頭さんがいってましたわ」

トランクの紳士については、それ以上別段の話もありませんでした。そこで私は今度は、長吉自身の身の上に、話頭を転じて行きました。

「どうせ、長吉には、いい人というのがあったのだろうね」

「エエ、それですわ」〆治は目で笑って「長吉さんという人は、至って黙り屋さんで、それにこちらへ来てから日が浅いので、あたしにしたって、あの人の心の中なんて、まるで分りゃしません。どっかこう、うちとけない所があるんですの。損なたちね。ですから深いことは分らないけれど、あたしの見た所じゃ、そんないい人なんてなかった様ですわ。