Clásicos japoneses con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lee 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 306.118 caracteres · 613 pantallas
――これは。
と、耳にとめた事は、老人の意見とて、決して聞き流してはいなかった。
鎌倉に。
という着想も、常胤の云い出した事であったし、今、富士川から退軍するのが利だという説も、その常胤と広常の諫めであった。
だが、いくら東国の事情にくわしい二人の説でも、鵜のみに、そうかと信じないところも、頼朝の性質だった。
「なぜ、退くのがいいか」
そう質問した。
広常は、それに答えて、
「――されば。常陸の志太義広とか、佐竹一族とか下野の足利忠綱など、まだまだ平家に属する豪族は、五指を折るも足らぬほどある上に……です」
と、そればかりではない理由を――味方の弱点を広常は指摘した。
要するに、いかに士気は昂くとも、強靱な軍勢でも、内部の組織は、一夜仕立てである。縦糸は太いが、横糸は極めて粗い。
平家は一見、その組織も士気も早、末期のものとは見えるが――と云って、一挙になどと見縊ったら、存外な惨敗を喫するかもしれない。尠なくも彼には数十年の集積がある。また、頼朝以上の逆境から立って――今日の平家を築きあげた入道相国がなお健在である。
「うむ。そうか」
頼朝は、釈然として、すぐ総軍にひき揚げを令した。