Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Lee 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 306.118 caracteres · 613 pantallas

Aozora Bunko

船出

一

石橋山の味方の惨敗は、もうつぶさに聞いていた。

「――お生命さえあれば」

と、今はただ、それのみが一縷の望みであった。

そして、心の底に、

「うかとは、死ぬまい」

と、固く自分を戒めていた。

良人の頼朝が果てたら、父も死ぬであろう、兄も斬死にするであろう。――当然、彼女も、心の支度は、疾く決めている。

それだけに、軽はずみを戒めていた。良人の思慮ふかい性格をよく知っているだけに、良人も最後の最後までは、生きつづけるであろう事を――固く信じていた。

「政子様よ。夜露はからだに毒。もう屋の内へおはいりなされ。こよいは、お寝みなされたがよい」

走り湯の法音比丘尼は、時折、縁に出て来て、声をかけた。

「はい。……はい」

庭垣の隅の方から、政子の返辞は素直に聞えてくる。けれど、室内へ戻って来る様子はなかった。

「……ご無理もない」

と、法音尼は、草むらの中に佇んで、じっと、天の一方を見ている政子のすがたへ、遠くから掌を合せた。

その人の影へ、掌を合せて念じるしか――老尼には政子を慰めることばもないのである。

更けて行った。

伊豆の海は、戦のせいか、漁火の影もない。