Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lee 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 188.242 caracteres · 380 pantallas

Aozora Bunko

まことに暢気な旅であった。

今日もお山は晴天で、八つの峰が鮮かに見え、肌が瑠璃のように輝いていた。そうして裾野には風が渡り、秋草の花がなびいていた。

いったいどこへ行くのだろう? この時代の裾野と来ては、猛獣毒蛇魑魅魍魎剽盗殺人鬼の住家だのに。……どっちを見ても危険でありどこへ行っても安穏はない。……人は老耄した老人で、一人は十一二の子供である。……それが暢気そうに歩いて行くとは! 大胆と云えば大胆とも云え、無考えとも云える。……いったい二人は何者だろう? どこからどこへ行くのだろう?

そのうちだんだん秋の日が山の方へ落ちかかった。寝所へ帰る鳥の群が、赤い夕陽をしのぎながら、麓の方へ翔けて行った。

つるべ落としと云われるほど暮れるに早いこの頃の日は、見る見る裾野を夜に導き、朦朧と四辺を闇にした。

「ご隠居様、ご隠居様、夜になりましてございます」

菊丸は不安そうに云い出した。

「さようさよう夜になったな」

「どこぞへ宿まらずばなりますまい」

「さようさよう宿まらずばなるまい」

しかし宿まると云ったところで、人家もなければ野宮もない。

で二人は歩かなければならない。