Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas

Aozora Bunko

どんなことがあっても、あなたの右腕に、降り龍を彫りたい――憑きもののしたような、命がけの願い。女の一念。……金五郎さん、あたしのこの気持、わかって」

「わからんこともないが……」

「あなただって、片方だけの半端じゃあ、ほんとの男の紋章とは思わないでしょう。あたし、金五郎さんが、立派な男で、約束を守る人だということを、信用するわ。武蔵温泉での約束、果して下さること、疑わないわ」

「弱ったなあ……」

「金五郎さん、彫青、もう一度、見せて」

仕方なしに、左腕をまくると、

「ああ、美しいわ」

お京は、我慢が出来ないように、金五郎の腕を両手でにぎり、龍の首のところに頬ずりをした。唇をつけて、青い絵具を舐めるかのように、彫青の部分を吸った。銀杏返しの髪のほつれ毛が、金五郎の顔に当る。

金五郎は擽ったく、変な気持になって来たが、お京を怒らせたくはなかったので、なすがままに、まかせていた。

「そっちの腕、見せて」

まっ白い左腕をさすりながら、火山のような大きな吐息をつき、

「この腕を、このままで置いとくなんて。ああ、金五郎さんがいやというなら、殺してでも、この腕に、降り龍を彫りたいわ」