Clásicos japoneses con furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lee 貞操問答 (ていそうもんどう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.240 caracteres · 399 pantallas
五
」退引ならず、新子は真実の先端を、チョッピリ夫人に打ち明けた。
「そうお。」夫人の笑顔が、急に権柄ずくな常の顔に変った。
つと立ち上ってビクトロラの傍に行って、またスキーパの曲に、針をあてがうと、ビクトロラに寄りかかるような姿勢をしながら、嘲笑を浮べて新子に話しかけた。
「貴女の散歩は、時を選ばないのね。おかげで、主人は、ハンチングは風に取られたというし、そりゃビショぬれで、ひどい目に会って、帰って参りましたよ。」
新子は、身内から、サッと血が引いて行くような感じだった。
「南條さん。さっきは、貴女からひまを取るというお話でしたが、今度は私から、今すぐひまを取って頂くことに致しますわ。どうぞ、出来るだけ早く、この家からお引き取り下さい!」
(出て行け!)西洋の映画にあるとおり、扉を指ささんばかりであった。
五
祥子の誕生した頃には、すでに前川夫妻の間には、大きな愛情の間隙が、出来ていた。
一つの屋根の下に住み、外面はあくまで夫妻であったが、しかし良人は、心の中で妻に、さじを投げていた。が、生得上品な性質である上に、外国に長くいたために、女権主義者であり、平和主義者であり、煩わしいことが、嫌いであるので年々悪妻の強さを発揮している綾子夫人を、当らずさわらず、取り扱うことに馴れてしまったのである。