Clásicos japoneses con furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lee 貞操問答 (ていそうもんどう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.240 caracteres · 399 pantallas
九
貴君も、随分ごひいきであったじゃないの。」夫人の声は、浮々とはずんでいた。
「しかし、あの人をなぜ呼び戻すのだ!」前川は、全く夫人に、飜弄されている形だった。
九
「だってねえ。」夫人の声は、極めて柔かな響きを持っていた。「私、随分探したんだけど、結局南條さんくらい、いい人ないと思うんですもの。」
前川は、夫人の表情を読みたくなり、思わず洗面所から、身を出しかけた。が、また思い直して、手先をゴシゴシと洗い始めた。
「それに、子供達も、時々思い出して、淋しがっているようですし、貴君さえよければ、私、明日にでも手紙を出して、あの人に来てもらいたいの。貴君、宿所ご存じでしょう、貴君がご存じなけりゃ、路子さんに訊いてもいいの。」
前川は、夫人の一言一言に、誘導訊問をする刑事の心理のように、意地のわるい計略が、かくされているように思われ、これは一問一答と云えども、油断をしてはならないと思った。
新子の現在を知ってか知らずにか、自分と新子との関係を、嗅ぎつけているのかいないのか……前川は、酒の酔もすっかり吹き飛ばされて、酔ざめの後の常より一倍冴える頭の中で、彼も夫人の心中を計るべく、作戦を考えねばならなかった。