Clásicos japoneses con furigana
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みちくさ
道草
Lee 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.812 caracteres · 293 pantallas
それにもかかわらず彼は自分とこの御婆さんの間に、少しの気脈も通じていない事に気が付いた。
「ああそうですか、それはどうも」
健三の挨拶は簡単であった。普通の受答えとしても短過ぎるこの一句を彼女に与えたぎりで、彼は別段物足りなさを感じ得なかった。
「昔の因果が今でもやっぱり祟っているんだ」
こう思った彼はさすがに好い心持がしなかった。どっちかというと泣きたがらない質に生れながら、時々は何故本当に泣ける人や、泣ける場合が、自分の前に出て来てくれないのかと考えるのが彼の持前であった。
「己の眼は何時でも涙が湧いて出るように出来ているのに」
彼は丸まっちくなって座蒲団の上に坐っている御婆さんの姿を熟視した。そうして自分の眼に涙を宿す事を許さない彼女の性格を悲しく観じた。
彼は紙入の中にあった五円紙幣を出して彼女の前に置いた。
「失礼ですが、車へでも乗って御帰り下さい」
彼女はそういう意味で訪問したのではないといって一応辞退した上、健三からの贈りものを受け納めた。気の毒な事に、その贈り物の中には、疎い同情が入っているだけで、露わな真心は籠っていなかった。彼女はそれを能く承知しているように見えた。