Clásicos japoneses con furigana
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みちくさ
道草
Lee 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.812 caracteres · 293 pantallas
六十五
「三十年近くにもなる古い事じゃありませんか。向うだって今となりゃ少しは遠慮があるでしょう。それに大抵の人はもう忘れてしまいまさあね。それから人間の性質だって長い間には少しずつ変って行きますからね」
遠慮、忘却、性質の変化、それらのものを前に並べて考えて見ても、健三には少しも合点が行かなかった。
「そんな淡泊した女じゃない」
彼は腹の中でこういわなければどうしても承知が出来なかった。
六十五
御常を知らない細君はかえって夫の執拗を笑った。
「それが貴方の癖だから仕方がない」
平生彼女の眼に映る健三の一部分はたしかにこうなのであった。ことに彼と自分の生家との関係について、夫のこの悪い癖が著るしく出ているように彼女は思っていた。
「己が執拗なのじゃない、あの女が執拗なのだ。あの女と交際った事のない御前には、己の批評の正しさ加減が解らないからそんなあべこべをいうのだ」
「だって現に貴夫の考えていた女とはまるで違った人になって貴夫の前へ出て来た以上は、貴夫の方で昔の考えを取り消すのが当然じゃありませんか」
「本当に違った人になったのなら何時でも取り消すが、そうじゃないんだ。