Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lee 雑居家族 (ざっきょかぞく) de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 140.106 caracteres · 283 pantallas
「じゃあ、またね。」
遠い方の花やへでもいってみようというつもりの安江の気持を見ぬきでもしたように、おかみさんは手早く三本の白菖蒲をぬき出し、
「あの、よろしかったら、これおもちくださいまし。きょう一日ぐらいはお役に立ちますよ、奥さん。」
そういって、いわばこっちの気持におかまいなく持たされた菖蒲だった。ただだからというわけか、いつものように紙にくるんでもくれない。きょう一日ぐらいといった花やのおかみさんの言葉を思い出しながら、安江は気がめいるのをおぼえた。足の方も重たかった。ひとりで旅にでも出たいとふっと思う。それを打ち消すように文吉のことがふっと思い出され、さらに音枝をふくめての三人の子供たちのそれぞれがゆうべの浜子とのやりとりと思い合しながら浮んでくる。すきなことを好きなようにいいあい、一しょに笑い、一しょに泣く、その家の中のみんなの調子がこれまではいつも一つの基調に合っていた、――と安江は思う。ところが浜子はちがう。浜子に向ってはすきなことをすきなようにいえない。安江の調子があわないのだ。合わせる努力もしたくない。愛していないのだと、安江は思う。