Clásicos japoneses con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lee 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 130.271 caracteres · 263 pantallas
(三十六)
嘘にもしろ、冗談にもしろ、自分は重太郎を可愛い人だと云った。で、対手の方でも自分を可愛い人だと思い染めた。究竟は無心の小児に対って菓子を与ると戯った為に、小児は本気になって是非呉れろと強請って来たような理屈である。対手が世間を知らぬ小児同様の人間だけに、斯うなると誠に始末が悪い。
(三十六)
お葉が黙って考えているので、重太郎は又もや迫り寄った。
「ねえ、お葉さん。お前は俺が髪をこんなに生しているので、忌なのか。それから……こんな獣類の皮を被ているので、忌なのか。髪は今でも直に切るよ。衣服は……金持になれば直に良い衣類を買って被るよ。お前にも最ッと良い衣類を被せて与る。それから……山に棲んでいるのが忌なら、お前と一所に町へ行く。何処へでも行く。ね、可いだろう。ね、それから……。」
云わんとすることは未だ種々畳っているらしいが、山育ちの悲しさには彼の口が自由に廻らぬ。重太郎は唖か吶のように、半は身振や手真似で説明しながら、其の切なき胸を訴えているのである。普通の人から見れば、彼は野蛮である、兇暴である、殆どの眷属である。が、彼は決して所謂悪人では無かった。