Clásicos japoneses con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lee 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.543 caracteres · 466 pantallas
彼は、近頃それを始めた。その骨の鳴る音をきくと、伸子は気が滅入った。
(恐ろしい。彼も指をぽきぽき折る。カレーニンも、冷淡な、いやな顔をして机の前で指を鳴らした。彼はカレーニン的なのだろうか? では?)
伸子は、今も衝動的に、「やめて」と云おうとして片手をのばした。が、訳の分らないものに制せられて黙った。彼はもう一度遣るだろうか。――伸子は、自分に対してよそよそしい、暗い、苦痛を待つような気持で、彼の手元を見守った。しかし、彼はそれに心づかず立ち上った。そして、机の前で、勤め先から持って来た風呂敷包みを解き出した。
伸子は、母のところで見た中国の小箪笥のことを思い出して、云った。
「蝶貝でも随分いい色のあるものね、絵具箱にするんだって、まるで大きなオパールを嵌めこんだようなのを見てきてよ――今日」
「ふうむ、よっぽどするだろうね」
「――そうね。……ほら、よく水色っぽいのや薄い桃色みたいなのあるでしょう? そんなのとはまるで違って複雑なの、光りかたが。……焔みたいだったわ」
けれども佃は、それの話題に関係なく、机の上の鉛筆やペンを片よせ、やや唐突に云った。